虚脱
目標に向かって一心に努力を重ねて、一応の目標に到達した際に、心身共に疲労の極致に達した状態にある場合、次の目標を見定めるまでの間、それまでのように集中した力の発揮ができなくなる状態をさす。良く睡眠を取ったり、ぼーっと何もせずに過ごしたり、映画を見たり、本を読んだりしながら、平静を取り戻すまで1か月近く掛かってしまう。場合によっては2か月も掛かってしまうことになる。中沢啓治氏の「はだしのゲン」第4巻「まっすぐ伸びよ青い麦の巻」では戦地から戻ったゲンの兄の浩二が一時虚脱の状態にあることが描かれている。とすれば、目標に到達した際に虚脱になるとは必ずしも言えないことが分かる。裏切られ、踏みにじられても生き抜いていかなければならない。そうした実生活に飲み込まれるからこそ、人は再出発することができるのかもしれない。また現実のなかで無能を突き付けられるからこそ、学問に向き合う強迫観念に駆られて再び学び始めることができるのかもしれない。