1. 蛇の生殺しの意味

蛇の生殺しの意味

蛇の生殺しの意味について国語辞典で調べても、大抵は、1.半死半生の状態まで追い込みながら、とどめをささずになぶりものにすること。2.決断を先延ばしにして、物事を中途半端に引き延ばすことによって、自分もしくは、関係者に苦痛を与えること。という意味が記されています。

しかし、ここでいう半死半生の状態に追い込まれるのが、蛇なのか、それとも蛇ににらまれた、獲物なのかが明確ではありません。蛇が、長い体で獲物を捕らえて、絞め殺したり、毒歯で噛みつき、弱らせてから時間をかけて丸呑みするというような行動を取ることを指して、つまり蛇が、獲物を生殺しにするという意味に解釈することが自然なように思われます。

ところが、多くの方が、蛇が生殺しにされる対象であると考えておられます。明鏡国語辞典の「生殺し」の例文にも「蛇を─にする」とあります。つまり生殺しにされるのは蛇だという意味に解釈できます。しかし、広辞苑第五版では、「生殺し」の例文としては、「蛇の─」と記されており、これ自体は振り出しに戻る設定であり、生殺しの対象についての判断にはなっていません。つまり、明鏡国語辞典が一歩踏み込んだ解釈を示しているといえます。

蛇の生殺しについては、幼いころに目撃した光景として、大きいお兄さんなどが蛇を捕まえては、しっぽをもって振り回して地面にたたきつけるなどして蛇を弱らせるような行動を取っておられました。蛇は痛めつけてもよいというような考え方が文化としてあったのかもしれません。つまりこれが蛇を生殺しにするという事例なのですが。

引き続き調査を続行しますが、とりあえず私は、蛇が獲物を生殺しにするという説に立っておきます。