漢字源
1988年に初版が発行された学習研究社の漢和辞典。編者に藤堂明保氏の名を冠する。解字が読みやすく、理解しやすい。言葉の意味を考えるときに、そこに使われている漢字の意味や成り立ちを知ることで、込められた思いをくみ取ることができる。広辞苑で意味を引き、漢字源で漢字の意味を調べるという習慣を身に着けると、より豊かに言葉を理解することができる。
私が20年以上おせわになって来たのは「漢字源」EPWING版1993年というものなので、おそらくウィンドウズ上で表記できない文字が省略されおり、予てより紙の新版を購入しようと思ってきた。先日、ふと漢字源改訂第六版が出版(2018/12/11)されていることを知り、早速手に取ることにした。第六版ともなると、解字は大幅に加筆されており、親字があれば、その部分の説明は親字に集約するという編集方法に変わっている。ページに付された親字番号をたどれば、これまでに慣れ親しんだ説明を得ることができるので、正常進化と判断したい。また、それぞれの見出し文字が大きいため、漢字の細部を確認しやすく読みやすい。二色刷りも好印象。何より巻頭の音訓索引が便利で引きやすい。辞書が柔らかく、どのページでも開いたままにできる。
しかし何よりも決定的に漢字源の魅力を高めたのは、「へびつかい」さんのイラストを用いた特別装丁版の存在だ。漢字の世界を歩む清々しさがイラストで表現されており、漢和辞典の堅さを分解して、知的好奇心を探求するための書物へと昇華させる効果を生んでいる。これほどまでに辞書に魅力を与えることができるイラストの底力には驚かされる。この企画を立案し、実行に移すGakkenの自由な社風にも感心する。一人でも多くの人が特別装丁版を手にされることを期待してやまない。