独学
独学とは、資格取得のための専門学校に通わずに市販教材を使って勉強すること。しかし現代においては、導きもなく完全な独力で勉強することは難しい。資格専門学校が一般にも教材を販売しているからこそ、それを購入して学習するという道が開かれている。それでは資格専門学校は何故教材を一般販売するのだろうか。教材の一般販売によって、教材開発コストを広く配賦して、単価を引き下げることができる。また、教材には書かれていない行間の学習技術というものがあり、結果として、合格するためには資格専門学校に通う必要性のあることを痛感する人々が生まれる。そうした方々を受講生として迎え入れることができるという利点もあるのだろう。また野球やサッカーと同じで競技人口のすそ野を広げる意味もある。バットやボールが世間一般に広く普及していれば、誰でもそれら球技に親しむことができる。そして競技人口が広いほど、優秀な選手が頭角を現し、競技水準を高める結果を生むことにもなる。
ところで目指す資格試験の合格基準が、回答者の成績分布によって調整される場合には、同じ学習教材で、同じ範囲を学習することの強みが発揮される場合がある。一年間必死に勉強してきた受験生にとって、資格者が問われるべき資質にも何ら関係なく、教材にも載っていない論点が出題された場合、その解答可否で試験の合否が判定されるとなれば、その心中は複雑極まりない。しかし結果的に多くの人が解けなければ、作問者側で合格基準を引き下げる責任が生じるだろう。しかし資格専門学校では、こうした理不尽な難問対策にも力を入れている。独学者が不利なのは、みんなが知っているのに自分だけが知らないというふうに置き去りにされることだ。自分だけが難問の罠に落ちる危険性がある。
それでも、競争に駆り立てられる重圧もなく、自分のペースで学習できる独学は魅力的だ。教材購入費も安価で済む。持続的に学習する習慣を身に付けることは、その後の人生の糧にもなるだろう。しかし資金力が許すなら、WEB受講も含めて、専門学校に通う方が良いに違いない。お金で時間を買えるのだから、自分への投資は惜しむべきでない。