肥後守(ひごのかみ)
小刀の一つ。長辺を開口部とした金属製の鞘(さや)に、刃先を手前、刃を内にして刀身(とうしん)を納め、刃元(はもと)と鞘の一端を貫く鋲(びょう)を軸として繰り出せる構造としたもの。鞘は柄(つか)を兼ね「肥後守」の刻印が打たれている。刃元に突き出た指掛け(チキリ)を押さえて刃を繰り出し、使用時の繰り込みを防ぐ安全機構とする。小刀ゆえに平板の彫刻には適さず、凧作りで竹ひごを削るなど、工作全般に用いる。鉛筆削りとして学問の成就にも役立つ。刃物の扱いは手先を器用にし、思考の域から、形あるものを生み出す能力を高め、脳の発達に寄与する。主に子供の遊び道具として用いられてきた。さまざな楽しみを表象し、刀光や機能美にも魅せられるところが大きく、現代においては蒐集の対象となっている。