1. 非常階段、非常口

非常階段、非常口

非常階段といえば、建物の側面に設置されている吹きさらしの階段を想像させます。日常では使用せず、火災が発生した場合などに避難のために利用するものという印象です。つまり普段とは違う危険な状態において特別に利用する階段という意味合いです。非常口も同様で、普段は通行しない特別な経路に通じている出入口という印象です。

しかしホテルの正面玄関に非常口のピクトグラムが設置されているのが目に留まりました。こんなホテルの表玄関が非常口なのだろうか…。

そこで理解したことは、非常口とは、非常事態が発生した際に、安全かつ迅速に避難が可能な径路の始点を示すということでした。ここで使い慣れない「径」の字を使ったのは、この字が「両地点をまっすぐにつないだ線を行く」という原義をもっているためです。つまり危険が迫る現在の場所から安全が確保された場所へ。その両地点をまっすぐにつないだ線を行くという意味になります。それが普段使いの常道であっても、最適な径路であれば非常口や非常階段たりうるということです。

そして最適な径路は特別に設置することも大切なことですが、同時に、あたりまえの道の中に最適な径路を可視化することも大切であるということを再認識することができました。