シャープペン
書くための道具である。手に納まる中空の軸の中に黒鉛の細芯を蓄えておき、使用する分だけを先端から徐々に送り出して筆記に用いる。芯が消耗するごとに軸を削らなければならなかった鉛筆の難点を解決した筆記具といえる。使用するごとに無くなってしまう鉛筆と異なり、芯を送り出して用いる本体は、長く利用することができる。特に受験生に対しては、マークシートがマークしやすいものとして、1.3mmの芯がよさそうだとか、少しでも努力が報われる手助けとなるようにと願う親心や、友達を思う気持ちが、その製品に託されて贈り物にされることも多い。ゆえに長期間にわたる長時間の学習に寄り添う文具として、工夫されたもの、丈夫なもの、上等なものが好まれる傾向がある。最前線で苦楽を共にするものであれば、使い捨てを前提にした設計ではなく、金属製の内部機構を備えるなど、なるべく長期間の利用が可能なものを世に送り出してもらえればと願うばかりである。
写真はプラチナ万年筆の製図用シャープペン PRO-USE 07。金属製で妥協のない日本製。洗濯板のようで握りやすい太軸。「70年代の宇宙開発」のような秀逸デザイン。重量感があり、ペン先を守るためには、きっと落とせない。「落とせない選択」に寄り添う名品。