先輩風を吹かせる
まだ実力が十分に伴わない人が、後輩が入社したことで、にわかに指導的態度を取る現象をいう。そうした現象にとどまらず、例えば自身が簿記の検定試験に合格するようなことで、自己努力を重ねていると自覚して、他の人もそういう努力をした方が良いと思うなど、自分の成長をより強く実感したいという素直な感情が、そこには含まれているのではないだろうかと思う。それは人が成長過程において経験する若気の至り現象といえそうだ。それは微笑ましい背伸びの情景で、そういう気持ちを励みにして、さらに自己研鑽に努めれば良いということになる。それは、未だ自分が自分の力で糊を得ているという自信や確信のない成長期の人が、「他者よりも優れている」と思うことで「保護を受けることができる安心感」を無意識に得ることであり、それは未だ、大人の領域に達していない精神状態に由来するものと思われる。人は自分の働きで社会に参加して役割を果たし、糊を得ていると自覚できるようになると、そうした背伸びの承認欲求を乗り越えて、精神的安定を得るようになると思われる。かく言う私もまだその域には達していないのだが……。