1. ユキワポット

ユキワポット

ユキワポットの写真

ユキワポットとは、コーヒーを抽出するために利用されるステンレス製の湯沸かし瓶(びん)。ヤカンで沸かしたお湯をユキワポットに移してコーヒーの抽出専用器として使うという用途が主流なのかもしれない。

私が知るユキワポットはホテルのコース料理の最後に、カップにコーヒーを注ぐために使われるもの。ホテルのものは特大サイズで、業務用途に応えて幾多の小傷を受けながらも磨かれて光り輝く美しさを放っている。

我が家ではユキワポットM-5を抽出専用器ではなく実用の湯沸かしポットとして利用している。直接コンロに掛けて湯を沸かす。直火焼けのような変色は特に生じていない。水は7分目程度(700cc)に抑えて火力は弱火にしておく。しかしながら少し目を離すと沸騰したお湯が注ぎ口からあふれてしまうじゃじゃ馬ポットではある。ごとくに置くことで底面に傷が付くが実用から生じる傷はポットの美しさを損なわない。

沸かしたお湯はそのままネルに注いでコーヒーを抽出する。濡れたふきんで持ち手をつかんでコーヒーの粉に湯を掛けて蒸らす。一度ごとくにポットを戻す。次に掴む時には持ち手は熱くない。金属の持ち手部分は中空に作られており、本体の熱が伝わりにくいように工夫されている。それでも湯沸かしに使うと持ち手も加熱されてしまうので、濡れふきんが必要となる。

ドリップにおいてはお湯を注ぎやすいが、湯量を細く保とうとしても最後の方で息継ぎ現象が生ずる。それでもステンレスの美しさが際立つポットでありコーヒーの味を引き立てることはまちがいない。コーヒーとはそういう嗜好性の飲み物であり、満足感の演出が求められている。