薬物乱用
濫(みだ)りに用いること。「濫り」でない用い方が違法でないことを想定している。ある種の薬物は医療用や業務用などに適切に用いられて有効なことがある。そもそも「薬物」とは薬という良い意味なのだから。濫(みだ)りにとは、水が一定の枠を超えること。お皿に張った水が溢(あふ)れたらみだり。つまり量を弁(わきま)えずに使うことが濫用。一般に薬物の場合は、量に関わらず使うこと自体が禁止されているものが多いから、「濫用」では、少量であれば使っても良いという誤解を生じかねないため、乱れるという意味を直接的に表す「乱」の字を用いて「乱用」と表記したものと思われる。これは「推(お)す」ことが良い意味を想起させることを嫌って、押さえつける意味の字を当てて「押し進める」と表記することに似た用法。使用そのものが禁止されている薬物は別として、権利の濫用という点においては、必要な量を必要に応じて使うという自律の精神を身に付けたいと願う。