子罕第九(223)論語ノート
子曰。譬如為山。未成一簣。止吾止也。譬如平地。雖覆一簣。進吾往也。
子曰く。譬えば山を為(つく)るが如し。未だ一簣を成さざれども、止むは吾れ止むなり。譬えば地を平らにするが如し。一簣を覆すと雖も、進むは吾れ往くなり。
例えば、山を作ろうとする時には、まず一もっこの土を盛り上げることから始める。しかしながら、一もっこの土を盛ったとしても、往来に踏みにじられ、風に吹き飛ばされて、すぐに土盛りは崩されてしまう。計画的に学習しようと試みても、夜に会議があったり、宴会があったりして、生活のリズムが大きく崩されてしまう。そして緒に就いた学習の成果も生活のリズムを狂わされることで、吹き飛んで振り出しに戻ってしまう。たった一もっこの土盛りでさえ始めることが難しい。
しかし例えば、土地を平らにすると考えてみればどうだろうか。踏みにじられた一もっこは、土を盛るのではなく、窪みを均すものと思えば良い。今度は窪みを埋める土の一もっこは確実にその分だけ土地を均すことに生かされるだろう。こうしてみると、秀でた土盛りを作ることは困難かもしれないが、至らない部分を埋め均す作業なら、それなりに成果もあろうというものだ。こうして踏みにじられながらも、一もっこを続けることで着実に前進できるだろう。