1. 学而第一(012)N

学而第一(012)論語ノート

有子曰。礼之用。和為貴。先王之道斯為美。小大由之。有所不行。知和而和。不以礼節之。亦不可行也。

有子曰く、礼をこれ用うるには、和を貴しと為す。先王の道もこれを美と為せり。小大これに由らば、行われざる所あればなり。和を知りて和するも、礼を以てこれを節せざれば、また行うべからざるなり。

宮崎先生は「小大由之。有所不行。」を「物事を一から十まで礼の規則ずくめでやろうとすれば、行きづまることが出てくる」と読まれました。つまりこれを礼についての説明と考えられたのです。私は、「小大由之。有所不行。」を和についての説明と考えます。小も大も和を貴しで行くと、うまくいかないことがあるというように読むのだと思います。つまり、国政を行う上で大枠で意見調整をして利害関係が、ある程度調和されるように物事を決めていくことが大切であっても、事細かい要求についてもいちいち調整を行っていたら、特定の勢力に振り回される結果になって物事がうまく運ばなくなるというような意味だろうと思います。和を知って和するも、慣習、制度、作法というような意味での礼によって物事を節することがなければ、行われないというのは真理だと思います。「礼を行うには和が大切だが、小さいことから大きいことまで全て和を貴しで行くと、うまくいかないこともある。和を知って和するとしても、礼で之を節しなければ、また行われないことがあるものだ。」という意味のこの章はとても深いと思いませんか?宮崎先生の訳も、大意は同じであり、私の意見は訳出の小差に過ぎないものです。