つり革 キュキュキュ
公共交通で、より多くの乗客が掴まり立ちできるように車内に等間隔に吊り下げられた持ち手。よく見ると小さく「ミカミ」と記されているものが多い。
毎日、通勤電車に揺られて思うこと。座れないから立ってつり革を持っている。大量輸送の合理性として人が立った状態で 詰め込まれることで乗車人数の最大化を実現できている。車内上部に金属管を渡し、人が並ぶ間隔につり輪を垂らして掴まらせる。つり輪の帯の部分は引っ張られる力に強い塩化ビニル樹脂などの素材である。持ち手の輪っかは「手掛け」という名称らしい。つり革は掴まり立ち時の揺れを突っ張ったり、引っ張ったり、さまざまな角度に吸収してくれる。人が当たっても怪我の恐れもない。
ただ病院の廊下を渡るときのような、体育館で運動しているときのような樹脂のこすれるピキュピキュ音が歯痒くて、つり革の帯と金属管との摩擦部分にシリコングリスを塗布して救急車の味のような音鳴りを静めたいと思う今日このごろである。