1. ノート

ノート

ノートとは書きとめることをいう。単に黒板を書き写すことをいうと思っていたがそうではないことに今さらながら気が付いた。例えば難しい本を読む。一回読んでもほとんど意味が解らない。気になって読み直してみたり、躓いて立ちどまって考えてみると分かったところがあったとする。それを書きとめていくのがノートということになる。そうして何度も読んでいくとその都度理解できるところがある。それを書きとめて再読時のヒントにするのがノートだろう。思考の道筋には、人それぞれの理解の水準によって、より多くの帰納的な跡付けや、段階を追った納得が必要になる。

だいたいそんなふうにノートを取らなければ分からないようなテキストは高尚すぎて、万人向けではないと思われるが、結局、人は気が付いたことを書きとめながら、理解できる範囲をすこしずつ広げていかなければならないのだろう。先生の板書を写す儀式がノートだなどとは悪しき習慣に他ならない。