間取り需要
間取りで最も大切なことは夫婦の寝室の防音と子供部屋との距離ではないだろうか。日本では都市部に人口が集中し、住宅が密集して立ち並んでいるため間取りも狭く、住環境が良いとはいえない。家族が生活するうえでもお互いの私生活の距離を保つ工夫が必要となる。子供が小さい間は和室に布団を敷いて家族で寝ることで良いが、子供が小学生になって学習習慣がついてくると、できれば子供部屋を与えたいと考える。また子供が中学生にもなってくると受験勉強のこともあり、就寝時間も異なってくるため、子供部屋にベッドを置いて、一人で寝かせる配慮も必要と思われる。その時に親の着想としては、子供部屋は居間の横にあって、襖や引き戸で施錠できない構造として閉じこもりにくい方が安心なように感じる。そして目覚めが良いようにベランダに面して朝日を感じられるような部屋が良いとも思う。それに対して夫婦の寝室は子供部屋から最も遠い位置にあることが望ましい。寝室での生活音が子供部屋に届かないように二重窓、防音性のある壁、そして遮音性のある簡易施錠が可能な扉のあることが望ましい。子供には長期の受験期がある。周囲でテレビを視聴するだけで、意識がそちらに引きずられて集中できないこともある。特に夜には音楽番組のかすかな旋律さえも届かない配慮が求められる。そのためできる限りの生活音は夫婦の寝室で防音したい。テレビも寝室で視聴すれば音漏れを排除できる。ところがこうした生活上の配慮はマンションのカタログからは読み取れない。寝室の防音性を明示するだけでも他社との物件比較において決定的に有利な選択肢になるはずである。配慮のない物件が多いためかリノベーションでは寝室の防音が施工例として数多くみられる。一生の買い物なのだから最初から防音性能を有しているべきだろう。ところで狭い居住空間を最大限広く活用するためには、他に余裕のある洋間があればタンスや書棚などは可能な限りその一部屋に集中させると良い。夫婦の寝室にはベッドとテレビがあれば良いのではないだろうか。