愛するとは、弱小動物たる人が生理的欲求を充足するために、協力して行動することを指し、相互依存関係に基づく具体的行動を意味する。愛が永遠であるのは、人が一人では生理的欲求を充足できない弱小動物であることに起因する。

配偶者との関係でも生きていくための共同生活という本質を意識する必要がある。将来に向かって一緒に生きて行くことを決意したパートナー同士が、日々生活を共にしていくことを愛するという。人は記憶する動物であり、日々の生活の体験が記憶として蓄積されることで、そのパートナーが他にかえがたい存在になる。

また、「木を愛する」、「森を愛する」という言葉は、人を取り巻く地球環境の保全が、人の生命維持に寄与するという関係に思いを致し、人の力で森林保全を行うことで森林との相互依存関係を築くことを意味する。この例のように人以外のものを愛するということもある。

愛するとは人が生きていくための具体的な行動を意味する。「相手を大切に思う心」や「慕う気持ち」が愛することなのではない。それは愛することの結果によって生まれる感情といえる。

そのため、残念なことに片想いでは、その人を愛することはできない。