各社から販売されているコーラという飲み物について考えてみましょう。いま、私はグラス1杯のコーラを持っています。さらに私はグラス1杯の水を持っています。二つを合体させると、私はグラス2杯の50%カロリーオフ・コーラを持っていることになります。この50%カロリーオフ・コーラは、微炭酸で飲みやすいうえに量が2倍になります。夏場などは特にのどごしがすっきりした清涼飲料水になります。いま、この50%カロリーオフ・コーラを2分の1の価格で販売しようと思うと、量が2倍であるため、2倍の市場が必要となります。これは生産力の向上がグローバル市場を必要とする論理に通じています。ところで、自分で消費する場合ですと、水で薄めるだけですから、手軽で簡単で、健康的で経済的です。ちなみに500ml入りのコーラを自動販売機で購入すると、130円でした。カロリーを50%オフにすることで、単価は約65円に下がることになります。そのうえで、カロリー50%オフ、かつ微炭酸で飲みやすいという、ふたつの付加価値が生み出されました。
これと似たような現象が他にもあります。例えば、インスタントカップうどんや、そばがあります。フタをはがすと、中に粉末だしの袋が入っています。この粉末だしを全て投入せずに、半分ないしは3分の2程度に控えて入れます。すると出来上がりのだしが程よく薄味となり、すべて飲み干すことができます。関西風味・薄味仕立てという付加価値を生んでいるのです。この場合、残った粉末だしを何かに使うことはできませんが、要は、濃いだしを健康を考えて半分残して捨てるのか、薄味に作ってすべて飲み干すのかという違いになってきます。メーカーは最初から薄味と銘打って粉末だしを減らしておけばコスト削減になるように思います。万人受けを狙うとある程度の濃い味にしなければならないのでしょう。そして大量生産によってコストを削減できているのでしょう。しかし、ロットを調整してニーズに応えることが、新たな付加価値を生み、原価を抑えることにもつながるという事例があると思われます。
製造原価を引き下げ、価格競争力を高めようとするほど、大量生産が必定となりますが、発想の転換で個性豊かな商品も生まれてくるはずです。