1. 舌圧子

舌圧子(ぜつあつし)

舌圧子の図

はじめに

昔、小児科に行くと、先生が「あ~んして」といってこどもの口を開けさせて、ステンレス製のへらで舌を押さえながら、のどの奥の腫れ具合を見たりされていました。先生の机の上にはステンレス製のペン立てのような容器があり、そこにアイスの棒のようなへらがたくさん立ててあったように思います。それは使うごとに洗浄・消毒します。そのへらを舌圧子(ぜつあつし)といいます。この舌圧子を使って、歯磨き習慣に安心・安全を付加することを提案します。

舌圧子の使い方

考え方は、こうです。1:洗面所に舌圧子を一本立てておきます。2:歯磨きをする前に、歯ブラシと舌圧子を水ですすぎます。3:歯磨きチューブから舌圧子に必要量の歯磨き粉を取ります。4:舌圧子に取った歯磨き粉を歯ブラシへ塗ります。5:舌圧子を丁寧に水洗いして、再び所定場所へ立てかけます。6:歯を磨きます。

舌圧子の図

コロンブスのたまご的発想。代わりは何でもよい

こうすることで、家族でひとつの歯磨きチューブを共用していても歯磨きチューブと歯ブラシの接触をなくすことができます。なんでもなく簡単なことです。舌圧子は医療器具ですから、取り扱いが心配という場合は、あんこをすくう「アンべら」がほぼ同じものです。安心なへらで「安べら」とも言えそうです。普通のスプーンでもかまいません。大切なのは、日常習慣のリスクをちょっとした工夫で回避することにあります。「餡べら」や「舌圧子」を使うというのは、遊び心が付け加わって楽しいと思います。

変化させるリスクを認識する

ところで、日常生活のなかで歯磨きチューブを共用している家庭はどれくらいあるのでしょうか。歯磨き粉はチューブの先から歯ブラシへ直接取って使います。確かに歯ブラシは使うごとに洗っています。家族間に衛生上の議論を持ち込むとスキンシップの信頼さえも揺らぐことになるため慎重さが求められます。普段から歯磨きチューブの共用などは意識の外にある問題ですし、それが自然なことだと思います。

変化しないリスクを認識する

しかしながら、新型コロナウイルス感染症が人々の生活習慣を大きく変えた2020年以降、水道の蛇口にさえも感染リスクがあるとすれば、歯磨きチューブ共用習慣についても、スキンシップの信頼感を維持しつつ何らかの感染防止対策を施すべきと感じます。インターネットで調べてみると、歯ブラシに触れないように歯磨き液を吐出できそうな泡タイプのものがあったり、ディスペンサーと呼ばれる定量吐き出し器などが売られています。しかしいずれも衛生面での課題を払拭できないと感じます。単純にマイ歯磨きチューブを持てばよいだけのことなのですが、一旦そうしてしまうと、やはり家族の絆が分断されるような、後戻りできない家族意識の溝が心配になります。

課題を解決することで次の認識に向かう

歯磨きは鏡の前で歯を見ながら磨くのが効果的です。つまり口を開けて磨きます。するとブラシ運びによって、唾液の飛沫が発生します。洗面所こそ唾液の飛沫に汚染された場所だと思います。ですのでむき出しで歯ブラシを立てかけておく習慣も見直す方が良いと感じます。ひとつひとつ工夫をしていく必要がありそうです。